――入社理由(志望動機)を教えてください。
前職では介護の仕事をしており、最初は現場で利用者さんを直接ケアする仕事が主でしたが、次第に管理業務の割合が増えていき、自分はもともと「人とかかわるのが好き」だったことから、机上や間接的なサポートより直接ケアするほうが合っていると悩むようになっていました。
ちょうど社会福祉士の資格取得をしているタイミングとも重なり、生活保護法に規定されている救護施設で実習をうけ、様々な課題を抱えている生活困窮者の方と接したことで「介護だけでなく生活面の全般をサポートする仕事をしたい」という強い気持ちが芽生えました。
その後、「生活に困窮している人を助けたい」「その人の人生に寄り添う仕事をしたい」と転職活動を開始し、SSSの掲げる「わたし達はまず助けます」という法人理念に共感し、応募に至りました。
――現在の仕事内容を教えてください。
生活困窮者(住まいや生活に困った方)の自立支援をしています。具体的には、福祉事務所など関係機関からの入所依頼に対する連絡調整や入所を希望するご本人との面談、入所施設への送迎などを担当しています。
家賃滞納からの立ち退きや長期入院後の退院先がないなど、入所された方によって生活困窮や住居喪失の内容は様々でケースバイケース。住所変更の手続きや年金の受給手続きのサポート、債務相談から場合によっては自己破産のサポート、DV被害者の住所をふせる手続き(支援措置)など、その人に合った方法でその人にとって最良な支援となるようご本人と擦り合わせをしながら進めていきます。
――その人に合った方法にむけてご本人とすり合わせをするということですが、実際どのように支援していくのでしょうか?
これまで少しずつ支援についての知識をふやしてきましたが、決してむずかしいことをしている訳ではありません。まずは繰り返しご本人の話を聞いていく。その中で何ができて、何ができないのかを把握し、必要な支援を考えていきます。
たとえば、過去の借金によって住民票の異動ができない・したくないといったケースについて、ご本人と面談を重ねながら、「債務状況を把握しているか」「役所や銀行にひとりで行けるか」「必要書類を揃えることができるか」などを確認していき、弁護士事務所や法テラスへの同行が初回のみで問題ないか、それとも毎回同行が必要かなどを判断していきます。
日ごろから「ご本人の能力をいかす」「できる部分をふやす」という視点を大切にしているので、なんでもかんでもこちらがやるということではなく、情報提供だけで課題解決にむかう方もいらっしゃいますし、反対に二人三脚で時間をかけていく必要のある方もいると考えています。
――SSSで働く「やりがい」や魅力は何ですか?
利用者さんが入所時に抱えていた課題が解決したとき、ご本人よりも支援しているこちらのほうがよろこんでしまうくらい利用者さんと向き合って支援をすることにやりがいを感じますね。
わたしの場合、「困ってる人を助けたい」という気持ちから出発して、ご本人が「何に困っているんだろう?」と探求心をもつ。そして、「人生がより良くなっていく姿」を目の当たりにして達成感を覚えると同時に、そのプロセス自体も楽しいと感じています。
また、介護業界では接点のなかった行政や病院、弁護士、民生委員など多くの方と出会い、利用者さんの支援に携われることが魅力です。役所の窓口ひとつとっても、高齢福祉課だけでなく生活福祉課、障害福祉課、はては納税課や市民課までご本人を支えるチームアプローチの視野が広がりました。
――職場環境はどうですか?また、スタッフ間のやり取りで印象に残っているエピソードはありますか?
職場をはじめ法人全体の雰囲気が良いところも気に入っているポイントです。一緒に働いている仲間とうれしいことがあれば共に笑い、困ったことがあれば共有して助け合えること。また、何かをやろうとした時の行動が早く、こうしたほうがいいと思ったらとりあえずやってみてその結果が良かったらそのまま採用される風通しの良い職場環境だと思います。
最近も入社して2週間の新人スタッフが事務効率を改善する提案をしてくれ、先輩スタッフがその提案を即座に採用したことがありました。わたしも先輩から「当たり前だと思って今やっていることが他の視点から見たら当たり前ではなくて、そう感じ気づくことが大事だから気づいたことがあったら遠慮なく言ってほしい」と言われていて、自分達で法人を良くしていこうって自然に感じられる社風が好きです。
――(代表的な)1日の仕事の流れを教えてください。
出社してメールチェック、1日のスケジュールをスタッフ間で共有します。10時まで事務仕事をして出発。10時半施設に到着し、施設管理者と打ち合わせ。その後、利用者さんと個別面談をして書類作成のサポート。12時頃から1時間休憩。13時新規入所者の面談をして施設へ送迎。15時半病院で入所前の事前面談。17時過ぎに三多摩支部に戻り、事務仕事をして18時に帰宅します。
時間外労働は比較的少ない職種ですし、介護の仕事の時のような夜勤がないので、身体的な負担が少ないのはありがたいですね。
――最後に今後の抱負などメッセージをお願いします。
この仕事をはじめてから多くの人と出会い、中には社会的弱者と位置付けられる方もおり、一人ひとりと向き合っていくと本人に非がないケースも多く、社会や境遇から現状に至っていることを知り、社会全体で支え合うことが大切だと感じるようになりました。
ひとりでも多くの人に「SSSを利用してよかった」と思ってもらえるように支援に取り組んでいき、仲間とのチームワークを大切にしながら自分の役割をまっとうしていきたいと思います。
SSSの活動は、生活困窮者が自立する上で必要不可欠であると自負しており、自分達の取り組みの社会的価値を高めていくことも大きな目標です。
文(聞き手):竹浦史展
取材日:2019.10.30
1984年1月生まれ/2017年2月入社
特定非営利活動法人エス・エス・エス(NPO SSS)
三多摩支部 支援員
東京都出身。
趣味はドラマ・映画鑑賞。