みなさま、あらためまして、日ごろよりSSSのインタビューコラムをお読みいただきありがとうございます。
SSSには本部事務局という部署があり、その中に広報を担当する梅原という女性スタッフがいます。現在、公開しているインタビューコラムの半数は彼女の手によるもの。
10年ほど前に入社し、東京支部の事務スタッフとして働いてきた梅原は、2017年2月に本部事務局へ異動し、現在に至ります。
今回のコラムは、一人の女性スタッフに焦点をあて、生活困窮者の現状やSSSの取り組みをどのように発信しているかをお伝えします。
梅原に広報担当として異動の話が舞い込んだのは、SSS入社後に出産した2人の子ども(長男7歳・長女4歳)が成長し、ほんの少しだけ育児が落ち着いてきた時のことでした。
「これまでの経験を生かしたい」「SSSの推進力の1つになりたい」
ちょうど「仕事にもっとひろがりを求めたい」と感じはじめたタイミングとも重なり、梅原は白羽の矢を受け止めました。
広報とひと口に言っても幅の広い仕事。
法人パンフレット、公式サイト、ブログ、SNS、インタビューコラム、利用者を対象とした「エスエス通信」などSSSの内外へむけた情報発信をはじめ、マスコミ取材対応、有識者や学生への調査協力、フォトコンテストの企画実施といった多岐にわたる内容に梅原は取り組んでいます。
広報の中で梅原が特にやりがいを感じているのは、SSS利用者のインタビューをおこない、生の声を文章化するインタビューコラム。
2017年の夏から企画をスタートし、生活困窮に陥った経緯やその時の気持ちを中心に話を聞きとり、生活困窮の現状とSSSの取り組みをコラムというカタチにまとめて発信しています。
異動前まで利用者との直接的なかかわりが少ない事務スタッフだった梅原。
自分自身もこのコラムを通じてSSSの取り組む「困ってる人を助ける」という活動をより強く実感するようになりました。
利用者から1時間、2時間とみっちり話を聞く。
すると、ホームレス状態や生活困窮の経験を「もうムリだと思った」「もうどうでもいいやと思った」「限界だった」とみな口々に語り、中には「死ぬことも考えた」という人も。
SSSを利用する全員ではありませんが、「今を、今日をもう生きられない」と感じていた人が大勢いて、「生きる元気や気力もない」と思っていた過去がある。
それでも、SSSに相談し、無料低額宿泊所を利用することで住む場所を確保し、そこに支援や人の気持ちが加わると、「今ここにいることさえムリ」と思っている人が「ちょっと前を見れて」「自分は生きられるかも」と思ってもらえる・・・。
こうしたことが「困ってる人を助ける」という言葉が意味することだと梅原は感じています。
SSSの活動する1都5県、各地域の現場では、「困ってる人を助ける」という社会的に意義のあることに日々、実直に取り組んでいる。
それをカタチにして、発信して表現していくことが自分の1番の役割だと考える梅原。
こうして広報の仕事にやりがいと責任を持ち、日々、邁進する梅原ですが、仕事の面だけではなく、夫婦共働きで2人の子どもを育てる家庭の主婦であることも本人を語るうえで欠かせません。
仕事を離れた時の梅原がどのような時間を過ごしているか、ワークライフバランスの観点からも少し聞いてみました。
早朝5:30に起床。梅原の1日がスタートします。
自分の身支度と食事、家族の朝食の準備、ゴミ捨て、夜のうちに済ませておいた洗濯物を外に出す。ここまでを約1時間。
6:30に2人の子どもを起こし、トイレ、着替え、食事、歯みがきなどを手伝ったり、声かけをしながら、7:20には保育園の送りを夫に任せ、自分だけ先に出発。
そして、始業時間である9:00の15分~20分前には上野の本部事務局へ出勤し、すでにお伝えしたような広報の仕事に集中して取り組むのです。
朝の部だけではなく、夕方17:00の退勤後にも慌ただしい時間が待っています。
帰りの地下鉄に乗るやいなや「いまどこにいる?」と夫と毎日スマホで調整。
どちらが先に保育園や学童に迎えにいけるかを相談し、自分が行くとなれば、最寄り駅から自転車で2人の子どもを30分ほどかけて迎えにいき、19:00の夕食を目指します。それから、子ども達を寝かしつける21:30頃までに入浴、洗濯などのカタをつけて就寝。
「ワンオペ育児」という言葉がありますが、「自分と夫の2馬力でやっていけることが本当に大きい」と梅原は話します。
しかし、ワークライフバランスが整うようになるまでには、子どもの乳幼児期を乗り越えなければなりませんでした。
まだ生後7か月の息子を保育園にあずけ、はじめての産休から職場復帰を果たしたものの、まだ1歳に満たない我が子は毎日のように発熱。
1週間のうちまともに出勤できる日の方が少ないということが続きます。
「自分が仕事をしているせいで子どもにムリをさせてしまっている」
「せっかく復帰したのに職場の仲間に迷惑をかけている」
梅原は葛藤し、自責の念に押しつぶされそうになりました。
「もう本当にムリだ。辞めた方がいいんじゃないか・・・」
気力も体力も限界に達しようとしていた梅原。
そんな姿を見て声をかけてくれたのが自身も産休から職場復帰した経験をもつ先輩女性スタッフでした。
「あのね、1歳までがんばって。1歳をこえたらだいぶ熱を出さなくなるから」
その言葉を聞いた梅原は、「経験者が言うなら」と前をむくことができ、
「またもうちょっと頑張ろう」と思えるようになりました。
振り返れば自分自身にも困っている時に助けられた経験があった。
「みんな同じだ・・・」
そう考える梅原は、SSSの取り組みを今日もあなたに向けて発信します。
文(聞き手):竹浦史展
取材日:2018.02.28
1977年1月生まれ/2008年入社
特定非営利活動法人エス・エス・エス(NPO SSS)
本部事務局 広報担当
横浜市出身。介護福祉士。
公的住宅の管理・企画業務を経て、社会福祉学を学ぶためイギリスへ短期留学。
帰国後SSSに事務スタッフとして入社。2017年2月より本部事務局へ異動。
産休・育休からの復職を果たした2児の母でもある。
[お問い合わせ]
SSS本部事務局
0120-964-725